大判例

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仙台高等裁判所 昭和40年(う)328号 判決

判決理由〔抄録〕

被告人が自動車を運転し、幼稚園の手前約二〇米の地点にさしかかったとき、幼稚園前に幼児が一〇人位おり、二四―五米先の道路の左側にも幼児が五人位いて遊んでいるのを目撃し、一〇粁位に減速して進行すると、被告人が当初目撃した道路の左側に遊んでいた四―五名の幼児のうちの一人ではなく、同じ道路の左側で、右四―五名の幼児より少し手前を歩行中の佐藤旨代の前近くに立っていた幼児が急に飛び出したことが認められるのであって、およそ幼児は自動車の接近に気付かず往々にして進路上に飛び出すことのあることは、自動車を運転する者としては予想しなければならないところである。本件の問題点は、道路上に飛び出した者が被告人の目撃した幼児ではなく、それ以外の幼児だということであるが、被告人の目撃した幼児達と、飛び出した幼児とはいずれも道路の左側にいて、その間隔は二―三米にしか過ぎないことが明らかであるから、被害者がまったく方向違いの意外な場所から飛び出したものとはいえない。被告人は、幼稚園前に立っていた保母が道路の反対側にいた幼児を呼んでいる姿を目撃していることが明らかであるから、かりに本件被害者が前記通行人佐藤旨代の前附近にいて同人の蔭になっていたため見えなかったとしても、被告人が道路の反対側にいる幼児を呼んでいる保母の姿を目撃している以上、右保母の手招きに応じて幼児が路上に飛び出してくることを予想し、必要に応じただちに停車して危険の発生を未然に防止すべき業務上の注意義務があるものというべきであるのに、被告人がこれを怠ったため道路上に飛び出してきた大野に車を衝突させたのであるからそれが被告人の目撃した以外の幼児であって、その附近の通行人の蔭から出た場合であったとしても、被告人にまったく過失がないものとはとうてい認められない。

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